こんにちはプロヴィアスタッフのコラム担当です。
 

物価も給料も上がる時代に 
〜2025年の最低賃金引き上げ、愛知は1,140円へ〜

 
2025年10月から、日本の最低賃金が全国的に引き上げられます。
全国平均は 時給1,121円(前年比+66円) と、
これまでで最大の上げ幅(厚生労働省発表[※1])。
すべての都道府県で初めて「時給1,000円以上」となります。
 
愛知県でも、最低賃金は 1,077円 → 1,140円(+63円) に。
この改定は10月18日から適用予定で、東海地方の中でも高い水準になります(愛知労働局[※2])。
 
 

物価が上がり続ける現実

 
背景には、長引く物価上昇があります。
 
総務省の「消費者物価指数(CPI)」によると、2024年度の全国物価上昇率は前年比 2.6%。
特に食品(+4.4%)や光熱費(+6.1%)など、生活に直結する分野の上昇が目立ちます[※3]。
 
内閣府の見通しでも、2025年度の物価上昇率は 約2.5% 程度と予想されており[※4]、
「給料が上がっても支出も増える」状況が続く可能性があります。
 
実際、NHKの調査(2024年7月)では、約7割の世帯が「生活が苦しくなった」と回答しており、
その最大の理由として「物価上昇」を挙げています[※5]。
 
 

賃金アップ=安心とは限らない

 
今回の最低賃金引き上げで、週5日・1日8時間働く人なら、
月収ベースで約1万円〜1万5,000円の増加になります。
 
しかし、食品や電気代の値上がりで、
実際の生活実感としては「やや改善した程度」にとどまる可能性が高いと言われています。
 
経済評論家の飯田泰之氏(明治大学)は、
 
「賃上げが物価上昇を上回らなければ、実質賃金は上がらない。最低賃金引き上げだけでは“生活の余裕”は作れない」
と指摘しています[※6]。
 
つまり今回の改定は、「追いつくための賃上げ」であって、「余裕を生む賃上げ」にはまだ遠いのです。
 
 

中小企業の苦しい現実

 
愛知県は製造業が強い地域で、トヨタ関連の企業や部品メーカーが多く集まっています。
しかしその下支えをする中小企業やサービス業では、
「人件費の上昇を販売価格に転嫁できない」という声が広がっています。
 
日本商工会議所の調査(2025年8月)によると、
中小企業の 約63% が「最低賃金引き上げで経営が厳しくなる」と回答。
特に「飲食」「小売」「介護」業界では7割を超えました[※7]。
 
こうした状況を受け、国は「業務改善助成金」制度を拡充し、
賃上げと同時に設備投資や業務効率化を支援する仕組みを強化しています(厚生労働省[※8])。
 
上げて終わりにしない、次の課題
 
最低賃金は今後も段階的に上がる見通しです。
政府は「早期に全国平均1,500円を目指す」との目標を掲げており[※9]、
賃金上昇と物価上昇の“綱引き”はこれからも続きそうです。
 
大切なのは、賃上げを「数字」だけで終わらせないこと。
労働者のスキルアップ、企業の生産性向上、価格転嫁の仕組みなどを整えなければ、
賃上げの効果が一時的なものになってしまいます。
 
 

愛知の未来に向けて

 
愛知県は日本のものづくりを支える中心地です。
最低賃金の上昇は、人材流出を防ぎ、地域経済を活性化させるチャンスでもあります。
 
一方で、物価高が長期化する中、「賃上げ=豊かさ」とは限りません。
企業・行政・消費者が一体となり、「働く人が報われる地域経済」をどうつくるか——。
2025年の最低賃金改定は、その試金石になりそうです。
 
【出典・参考資料】

[※1]厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金改定の全国一覧(2025年9月)」
[※2]愛知労働局「愛知県の最低賃金改定のお知らせ(2025年9月24日)」
[※3]総務省統計局「消費者物価指数(2024年版)」
[※4]内閣府「経済財政白書2025」
[※5]NHK世論調査「家計の実感に関する意識調査(2024年7月)」
[※6]飯田泰之『経済はこう動く2025』(NHK出版)
[※7]日本商工会議所「中小企業の賃上げ・価格転嫁に関する調査(2025年8月)」
[※8]厚生労働省「業務改善助成金の概要」
[※9]政府「三位一体の労働市場改革方針(2025年5月)」
 
 


コラム一覧へ戻る